「レンマ学 第1回 方法序説(1)」 中沢新一 群像2018年2月号 走り書き

 

群像 2018年 02 月号 [雑誌]

群像 2018年 02 月号 [雑誌]

 

 メモ程度に...

 

ロゴスとレンマ

 

ロゴスの語源は「自分の前に集められた物事を並べて整理する」(p44)

 

レンマの語源は「事物をまるごと把握する」(p44)

 

・現代世界を覆っている科学文明の基礎としてのロゴス(※)
・「並べて整理する」世界把握に必然的に持ち出される因果率の視点、分割による局所性

・それゆえの線形的な時間概念、過去・現在・未来

 

しかし、科学の最先端としての量子力学によって示されたのは、「縁起」的な世界観だった

 

量子力学の最初に創り出された理論では、マトリックス(行列)が利用された。縦横の行列の形に並べられた無限個の要素が、いっせいに全体運動しながら変化していく〜非局所的な性質を持つことになる。観察過程にはかならず不確定性がつきまとう。(p46)

 

アインシュタインが拒んだ「レンマ的」な、非ロゴス的な科学としての量子力学

 

その思考法、「仏教では世界をつくるあらゆる事物が、「縁起」によって相互につながりあっているという認識を出発点にした」(p44)

そのような非局所的、非線形的な知のありかた

 

 レンマ的知性は言語と同じように、人類に普遍的な能力である。それゆえレンマ学の試みは、東洋思想論でも仏教論でもなく、一つの「普遍学」の試みとなろう。(p54)

 

(※):最近読んだ本と関連付けると、

クルアーンを読む」(太田出版)にはキリスト教文明由来の西洋近代科学の発展、「ハイデガー=存在神秘の哲学」(講談社現代新書)には、因果律の範囲内での西洋近代の思想的潮流(ハイデガーに言わせれば存在忘却の歴史)

これらもロゴス的知性と言い換えることができ、特にハイデガー存在論はレンマ学的発想と言うこともできるのではないだろうか。