2019年5月に読んだ本

 

 

本居宣長 (1978年)

本居宣長 (1978年)

 

 

〜二重構造ともいうべき姿勢、つまり正しい道理を自覚し、その実現を期待する志向を失わないという姿勢は、宣長において相当に根の深い姿勢であったと言わなければならない。〜後に述べるように終生、この姿勢は持ちつづけられ、また、彼の思想の核心にかかわるものにまで結晶することになったと思われるのである。(p215,216)

 

一面において宣長は、今の世をこえた正しい道理を考える。だが他面において、あくまでも今の世に随順することを強調する。今の世を基準として考えて、難のなさを求め、わがままを否定する。(p213)

 

 

 

いつもそばには本があった。 (講談社選書メチエ)

いつもそばには本があった。 (講談社選書メチエ)

 

 

  

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

 

実際の統計データを物語中に織り交ぜつつ、現実的で具体的な表現で「韓国で生きる女性」を描き出すその筆致は、ある意味、文学における「抽象性」や「深み」を脇においてまで、表現したいある「領域」があることを感じさせる。

 

社会変革が進む過程で起こる世代間・性別間の摩擦と葛藤。新しく生まれた価値観を認める人達と認めない人達できれいに社会が分かれるわけではない現実においては、相手の考え方を納得はできずとも理解はできるゆえの気遣いが世代・性別を越えてやり取りされる。主人公のキム・ジヨンはその不合理で差別的な社会構造に気付くたびに、時に傷つき、拒絶しながらも、諦めの気持ちを抱きもする。

 

社会の構造的暴力が残存するその「領域」は、1人の女性が抵抗しただけではどうにもならないほど強大で、無慈悲である。少なからぬ人々にとっての疑わざる常識ですらあるがゆえ、あまりにも強固である。その内実を描き出すために、(意識的にせよ無意識的にせよ)選択された「わかりやすい」文体には、現実社会で議論を呼び起こすきっかけとなっているこの現実を見れば、その有効性が実証されていると言うことができるであろう。

 

説教したがる男たち

説教したがる男たち

 

 

別に男に意地悪したいわけじゃない。ただ、暴力が一体どこから来るのか、それについて私たちに何ができるのか、もっと生産的に理論化できると思うだけだ。米国の場合、簡単に銃が手に入るということも大きな問題だが、だれにでも銃が手に入るにもかかわらず、殺人犯の九十%は男性なのだ(p32)

 

 

パワー

パワー

 

 

 

天然知能 (講談社選書メチエ)

天然知能 (講談社選書メチエ)

 

 

 

 

 経済学関連で読み散らした本

集積の経済学

集積の経済学

 

  

経済学原理〈第2〉 (1966年)

経済学原理〈第2〉 (1966年)

 

  

モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質 (経済産業研究所・経済政策レビュー)
  

 

 

国家の退場―グローバル経済の新しい主役たち

国家の退場―グローバル経済の新しい主役たち