2023年2月に読んだ本

 

 

 

 

 

 

 

 

・「絶対音感とは、基本的にはすべての音名の音高が特定できる能力のことですが、ある一部の音高についてだけ絶対音感の感覚を持つ人がいます。これらの人を絶対音感保有者と見なして良いかどうかは議論が分かれるところですが、ここでは仮に「部分的絶対音感保有者」とします。この「部分的絶対音感保有者」は、白鍵の音だけ特定でき、黒鍵の音を特定できないことがほとんどです。逆、すなわち黒鍵がわかって白鍵がわからない、ということはありません。なぜこのような不完全な状態が起こるかといえば、初歩の音楽経験、とくにピアノのレッスンが、もっぱらハ長調の曲中心であることに関係しているでしょう。ハ長調には、白鍵の音しか出てきません」(p43)

・「なぜ幼い子どもが絶対音感を身につけることができるのに、大人はできないのでしょうか?この理由としては、子どもと大人では情報の処理の仕方に違いがある、ということが考えられます〜小さな年齢の子どもは、音を記憶したり判別したりする際に絶対的な音の高さ(絶対音感)に着目する傾向が強いのに対し、年齢が上がるにつれ他の音高との関係(相対音感)で判断しようとする傾向が現れるという報告があります」(p44)

・「声調言語(tone language)と呼ばれる言語があります。中国、ベトナム、タイなど、アジアのいくつかの国は、声調言語を用いる国です。声調言語では、同じ発音でも、音の高さによって単語の意味が違います。声調言語を母語とする人は、音の高さに対する敏感さを養うことになるため、結果的に絶対音感を身につけやすい、という考えです」(p47)