個人的な感情や関係性が、市場・社会・国家といった大きなものとつながっていることをしめし、世界の公平に向けて私たちに何ができるのかを、ゆっくり優しく語られていく。
たぶん、世界を根底から変えることはできない。まったくあたらしい手段をみつけて、すべてをつくりかえることはできない。おそらくそれはよりよい方向に近づく道でもない。
ぼくらにできるのは「あたりまえ」の世界を成り立たせいている境界線をずらし、いまある手段のあらたな組み合わせを試し、隠れたつながりに光をあてること(p182)
今私の目の前にふっと現れた「あたりまえ」をずらしてゆく他者に対し、「うしろめたさ」を感じることから始まる「贈与」という実践的倫理の機会に開かれてありたい、そう思わされる。