メモ程度に...
ロゴスとレンマ
ロゴスの語源は「自分の前に集められた物事を並べて整理する」(p44)
レンマの語源は「事物をまるごと把握する」(p44)
・現代世界を覆っている科学文明の基礎としてのロゴス(※)
・「並べて整理する」世界把握に必然的に持ち出される因果率の視点、分割による局所性
・それゆえの線形的な時間概念、過去・現在・未来
しかし、科学の最先端としての量子力学によって示されたのは、「縁起」的な世界観だった
量子力学の最初に創り出された理論では、マトリックス(行列)が利用された。縦横の行列の形に並べられた無限個の要素が、いっせいに全体運動しながら変化していく〜非局所的な性質を持つことになる。観察過程にはかならず不確定性がつきまとう。(p46)
アインシュタインが拒んだ「レンマ的」な、非ロゴス的な科学としての量子力学
その思考法、「仏教では世界をつくるあらゆる事物が、「縁起」によって相互につながりあっているという認識を出発点にした」(p44)
そのような非局所的、非線形的な知のありかた
レンマ的知性は言語と同じように、人類に普遍的な能力である。それゆえレンマ学の試みは、東洋思想論でも仏教論でもなく、一つの「普遍学」の試みとなろう。(p54)
(※):最近読んだ本と関連付けると、
「クルアーンを読む」(太田出版)にはキリスト教文明由来の西洋近代科学の発展、「ハイデガー=存在神秘の哲学」(講談社現代新書)には、因果律の範囲内での西洋近代の思想的潮流(ハイデガーに言わせれば存在忘却の歴史)
これらもロゴス的知性と言い換えることができ、特にハイデガーの存在論はレンマ学的発想と言うこともできるのではないだろうか。